映画武士道

エスコバル 楽園の掟の映画武士道のレビュー・感想・評価

エスコバル 楽園の掟(2014年製作の映画)
3.1
個人的には微妙。というか悲しい気分になりました。
コロンビアを舞台にした悲劇です。

主人公はカナダ人サーファーで兄家族とコロンビアに移住してきた。
(兄も元サーファーで今は怪我かなんかでサーフィンはもうできない)
サーファーにとってコロンビアのビーチは憧れの場所だったみたいで昔からここに住むのが夢だったみたい。

ビーチは確かに美しい。
でも実際に住んでみるとわかるのがコロンビアの治安の悪さ。
いきなり地元のチンピラに因縁をふっかけられ、金を要求される。
強気に要求を無視していると猛犬をけしかけられ犬に食い殺されそうになったり酷い目に遭わされる。
そんな現実と理想のギャップの中ちょっとしょんぼりしているとこで出会ったのが地元の美人さん。しかも性格もいい!
美人さんと出会え、チンピラにいじめられてる現実そっちのけで恋愛に夢中になる主人公ですが・・・なんとその美人さんには怖いおじさんの親戚がいたのです(実質親代わりみたいな感じ)。

よくある設定で好きになった彼女の奥さんが実はすごく怖い人だったとか、実はヤクザだったとかいう設定がありますが今回はなんとそのおじさんは麻薬王。しかも地元の市議会議員か県議会議員の政治家もやっている(麻薬王が政治家やってるとかコロンビア怖すぎ)。
おじさんは麻薬王なんですけどめちゃくちゃ気のいいおっさんで親切。しかも仕事も紹介してくれたり彼女との結婚も応援してくれたり。
なんとコロンビアでは麻薬販売は昔から伝統で先祖もコカの葉を食べていた。何が悪い?とかいう認識らしい(主人公の彼女の台詞より)。
なので地元では麻薬販売は地元の名産品で金儲けしている感覚。そして麻薬王のおじさんは地元の街の大きな雇用主で地元経済を潤している街の英雄らしい。

その認識凄いなあ。実は麻薬王とか言っても優しい人なのかなあ。って思いながら見ていると。やっぱり怖い人でしたー!

麻薬王のおじさんに地元のちんぴらにいじめられててツライ。みたいなことを言ったら数日後そのチンピラが生きたまま焼かれた死体になって発見される。麻薬王のおじさんの手下がやったという街の噂。

麻薬王のおじさんはその後も主人公も含め基本身内にはすごく優しくしてくれる。やばいと思うのは時々おじさんの手下が人を殺したときの返り血らしい血まみれの手を洗っているときくらい。
主人公もその状況に慣れてきて、麻薬王のおじさんは基本優しいし仕事も順調。恋愛も順調。この生活もいいかなぁ~って思い始める。

そんな状況が一変したのはコロンビアの中央政府の法務大臣が麻薬根絶に動き出したこと。
政治家ではあるが麻薬王のおじさんも摘発のターゲットにされる。
でもそんなことでくじけない麻薬王のおじさん。中央政府に対して宣戦布告。中央政府の法務大臣も殺し屋を送って暗殺。
中央政府の方は大臣を暗殺されてくじけるどころか、本気モードになり軍隊を動員しさらには米軍に協力要請し麻薬王のおじさんとの戦争になる。

さすがに米軍相手では勝ち目なし。追い詰められていく中で麻薬王おじさんの中で変化が生まれます。
そう猜疑心が生まれました。
身内には基本優しかったおじさんだったのですが部下も信用できず。家族も信用できない男に変わっていきます。
信用できないと思った部下は情け容赦なく殺す、家族も殺す。
その矛先はあれだけ優しくしていた主人公にまで向けられるようになる。
主人公はさすがにもうこの状況でこの国にいられないと、兄家族・結婚した彼女とともに母国カナダへ脱出を図りますが・・・

というストーリーです。

正直、見て楽しい!!というような作品ではありません。悲しいストーリーです。
そして美しいビーチの映像も少ないです。主人公たちがわざわざ移住してくるほどの美しいビーチならそういう映像をもうちょっと入れて動機を共有させた方がいいと思います。

よくある嫁さんの怖いお父さんシリーズの作品だいたいコメディなんですけどコメディにする意味がわかりました。
やっぱリアルな展開だと一見優しくても麻薬王の親戚は怖すぎます!(ヤクザもたぶん同じでしょう。)
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