ランボーでありたい

クラウンのランボーでありたいのネタバレレビュー・内容・結末

クラウン(2014年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

怪しいピエロの衣装を着ちゃったお父さんがあんな姿に・・。どうやら最近流行っぽいピエロホラー。フェイク予告から長編製作に化けたアメリカの寛大さを知ることの出来る事案。
監督はジョン・ワッツ、製作にイーライ・ロス

100分の映画内でどんどんジャンルの変っていくなんともてんこ盛りな作品だった。
あろう事か、序盤も序盤に主人公ケントは件のピエロの衣装を着てしまう。『えっ?もう着んの?これであと90分もつの?』である。『あとはふとどきな若者殺してまわるだけか?』などと思っていたらそうではない。(予備知識ほぼない状態で見たのですいません)ピエロの服、脱げない・・。あらゆる手を使っても脱ぐことのできない・・なぜ?食欲も増してきてなんか体の調子もおかしい・・。そもそもこのピエロの衣装はいったい何なの?というミステリー仕立てで興味を引き付け物語が進む。
衣装の正体がわかればここからは身体の変化が急速に進み、ケントにどのような影響を及ぼすかを特殊効果たっぷりに見せる。(この辺で僕は『なるほど!これはザ・フライなのか!!』とひとり大喜び)
変身が完了すればピエロケント大暴れのモンスタームービーに変化していく。倒すための手段・解決方も事前に提示してあとは退治に一直線である。
いやーいいもん見たなー。痛みを予想できる範囲のゴア描写と振り切った切り株のバランスが絶妙。見せ方・アイディアもいい。子供を平気でバンバン殺しちゃうのも攻めてて好き。

『いくらイーライ・ロスプロデュースだからといって殺人鬼ピエロが次々人を殺していくスラッシャーだろう』とたかをくくっていた見る前の自分をぶん殴りたい。(注:スラッシャー映画をバカにしているわけでは決してない)
イーライ・ロスは監督作だけでなくプロデュース作もなかなかおもしろい。「アフターショック」も「ザ・ストレンジャー感染者」も今作「クラウン」も好みの問題はあるだろうが、要所を押さえドラマパートもしっかり作ったまじめなホラー映画でどれも個人的には好きな作品。
妻であり母親でもあるメグの苦悩のすえにとる選択も理解できるし、ああいうシチュエーションを用意するのもホラーとして大事なんだと改めて実感。(次のシーンでもうケロッとしていたのは幾分不満ではあるが)
悪魔と化したケントとメグ夫妻の肉弾戦を逃げずにしっかり描いたのも好印象。
結末にもうひとひねり(息子を守るためといえ夫を殺さなければいけない妻の葛藤はもっと必要だったはず)あれば傑作になっていたであろう嫌いになれないタイプのホラー映画。

*昔教育テレビでやってた海外ドラマ「グースバンプス」に似たようなマスクが脱げなくなる話あったのを思い出してちょっと懐かしくなる