シネオ

ザ・ブリザードのシネオのレビュー・感想・評価

ザ・ブリザード(2016年製作の映画)
4.5
劇場予告編で、「ブリザード」という安直なタイトルから苦手な海難パニックものだとスルーしましたが、後から実話だと知って食指が動きました。

アメリカ沿岸警備隊史上、最も過酷だった救出劇。厳寒で凄まじい嵐の中、真っ二つに割れたタンカーへ、たった4人で救出に向かった男たちのお話。これはきっといい映画かもと、直感がはたらきましたよ(笑)

割れたタンカー船が持ちこたえたのも、小型救助船で10mの大波に怯まなかったのも、決して諦めない2人の男の勇気あふれる判断があったから。もっともディズニーっぽくない(笑)物静かな主人公がよかった。人間味ある葛藤が繊細に描かれ、ただのヒーローものにはないリアリティが、全編にあふれています。史実ものの醍醐味ですね。

テーマは、「希望と幸運」。どんな困難でも、希望を持って立ち向かえば度重なる幸運を引き寄せ、奇跡が生まれる。それが実話なんだから、説得力は凄まじいです。静かな男たちの信頼関係に、心震えました。ああ、仕事でもこんなチームを作りたいなぁ(笑)

嵐の海の怖さは、見たことのないクオリティ。さすがディズニーの真骨頂です。主観的に映されていく高波を超えていく小型船も、自分が海原の中に放り出されたよう。最新技術で再現された海難シーンは、映画史に残るんじゃないかな。僕は2Dで見たのですが、ディテールが繊細で臨場感がありました。3Dじゃないほうが、全体に画面が暗いのでオススメです。

ブラックスキャンダルのように、エンドロールで、実際の写真が出てきます。この手法、好きです。あぁこんなことがホントにあったんだなぁと、身震いがしますね。

残念な日本独自のタイトルに、騙されないでくださいね。これは歴史的救出劇を目撃できる、壮絶な実録人間ドラマの秀作ですから。
シネオ

シネオ