OneEyedJOKER

プリズン・エクスペリメントのOneEyedJOKERのレビュー・感想・評価

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サンダンス映画祭3部門受賞ほか、各国の映画祭でも絶賛された作品で【es】【エクスペリメント】に続き、実話である“スタンフォード監獄実験”の映画化。

ストーリーは大半が前者にあげた作品と変わりなく、少々飽きも生じてきたりする。

違うのは成人と学生と言ったところか。

エンドにある、被験者の「学生に今は後遺症はない」と言い切る今作に少し疑問を覚える。

あれだけの非人道的な人体実験を行って、囚人役の側に心的ストレス(PTSD)などの後遺症が無いなどと、どの口が言えるのだろう。

一般的な普通の学生とはいえ、閉じた狭い空間に入れられ、強い権力を与えられた人間と著しく力を奪われて持たなくなっていく人間とでは、当然 権力を持つ方に歯止めが利かなくなり暴走行為を犯してしまう。

しかもそれは、個人的な性格に関係なく、権力者と非権力者という役割を与えられただけでその事態に陥ってしまうとは…。

本作品のエンディング・ロールに、高齢とはいえ存命しているフィリップ・ジンバルドー博士の1枚の写真すら映画に登場しない、あるいは、被験者として参加した学生たちの映像も流れない。

これは一体何を示しているのか。
制作側の本作品のエンターテイメント性を訴えたいのか、或いは明かせない何かしらのシガラミがあるのか…どちらにせよ
考えると怖い作品である。
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