もやし

ブルックリンのもやしのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
5.0
2回目です。
自分のことのように没入して見てしまう映画です。

地元での生活に嫌気が差した若い女性が、思い切って都会に行くが、打ちのめされて悩み苦しむ話。そして都会に馴染んでからも色々悩み苦しむ。
よく考えたらずっと主人公が悩み続ける映画だな。恋愛映画。

まず地元で店で働いてるわけだが、そこの店主がいかにもな嫌な奴で、もうね…
仕事がないからそこで働くしかない。

母と姉との三人暮らしで、母のことは私に任せてと姉に背中を押してもらえたことで、地元を出ることができた。姉は本当に良い人。


序盤の都会の洗礼描写がきっつい。
まず行きの船で普通に飯食ってたら、乗組員に今から酷い波なのによく飯なんて食えるなと笑われ、その後もう酷い有り様。二部屋でトイレ共用で相部屋のやつが鍵閉めやがったからやむを得ず清掃具のバケツを使うという…もう辛い…笑

向こうに着いてからも細かい洗礼がボディーブローのように効いてくる…
やっぱ田舎者は馬鹿にされるしあらゆることが初めてで勝手がわからないし、自分の力で生きるしかないから逃げ場もない。
姉からの手紙に信じられないぐらい喜び、時間さえあれば何度も読み返して毎日泣きながらの生活。

でも、時間が解決してくれる部分だったり周りの少しの助けだったりで、なんとか潰れずに済む。
そんなときにふとしたことで一人の男性に出会う。
とても良い感じの人で、生活に光が差す。
ここら辺は本当にすごいなあって思う。
ここまで他者の重要性ってものを直球で感じる瞬間も珍しい。


だが、ここである悲しい出来事があり、それが転換点になり、事態は少し複雑な様相を呈してくる。
ここからはなんというか、ちょっと独特のニュアンスの話になってくる。
倫理的な面だったり主人公の価値観や振舞いの部分だったり、色々と出てくるものがあり、この映画大嫌いっていう人も結構いると思う。
あくまでも主人公は一生懸命なのは変わらないんだけどね。


そういった、正論だけじゃ生きていけない現実の前に主人公は自分の一歩を踏み出す。
ここまで明確に一歩を踏み出す映画というのは珍しいと思う。
本当に前進、成長という感じ。
この映画そのものがそれを強く描いた映画で、そこが本当に心に響きました。

自分はまだこの映画の最中にいるような感覚がある。
私はまだ一人の人間として成長できていないと思う。
だからこの映画の主人公のように私も前進したいと強く思うし、ふとしたときに何度もこの映画を思い出してしまう。
この主人公にはこれからも途方もない色んなことがあるんだとわかってはいるんだけどね。たぶん自分の今の精神年齢にとても近かったんだと思う。

今も、もう全てめんどくさいとかもう頑張りたくないとかもう人生辞めてしまいたいとか笑、自暴自棄になることも多いけど、前に進む気になれた瞬間には、この映画のように自分も生きていきたいです。
もやし

もやし