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みかんの丘のFAZのレビュー・感想・評価

みかんの丘(2013年製作の映画)
4.5
ウクライナとロシアが戦争中の今だからこそ、今この瞬間もウクライナでは同じようなことが起こっているんだと、見ていてとても苦しくなった。

主人公イヴァがどうして疎開せず戦果の地で留まるのか、その意味を言葉ではなくラストのシーンで見ている私たちに悟らせる脚本が素晴らしい。

見ている時はイヴァはなんて心が広くて優しくて信念を持った人なんだろうと思っていたけど、見終わった後振り返ると、イヴァは特別でもなんでもなく、良い意味で当たり前の人なんだと思った。

当たり前というのは、特別な環境下になってしまうと忘れてしまう。
戦争という特殊な背景が自分を覆うと、人はたちまち恐怖や保身や憎しみで、人を殺したり奪うことが当たり前になってしまう。

でもイヴァは一貫して、戦争だろうが当たり前を貫く。その姿が如何に尊くて、失ってはいけないものなのか、特に国の権力者たちには胸に刻み込んでほしい。

「何が違う?」

最後のイヴァのこのセリフが全て。

愛する家族がいて、夢を持ち、仲間を思い、美味しいものを美味しいと良い、おはようを交わし、命を助けてくれたものを恩人だと思う。

ねぇ、敵と味方、何が違うの?
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