ヒゲゴリ恐怖映画系

みかんの丘のヒゲゴリ恐怖映画系のレビュー・感想・評価

みかんの丘(2013年製作の映画)
4.5
命の尊さ…

老人は1人木材を加工し、みかんの箱を作る。
2人の兵士が突然「腹が減った。飯をよこせ」と訪ねて来ても丁寧に対応。
兵士が去り、隣に住む同郷の友人とみかん狩りの相談をしている時、すぐ近くで銃撃戦が。
敵軍同士1名づつ生き残った兵士を、2人は介抱する。
老人の家で目が覚めた一方の兵士は、敵がすぐ隣の部屋で寝ている事を知ると「仲間の敵討ちだ、殺してやる!」と行動に出ようとするが、家の中で殺生は許さない、まずは怪我を治すのが先決だと老人は兵士をなだめた。
戦地の中の小さな家で奇妙な共同生活が始まった…老人は黙々と介抱をつづける


"面白い"映画ではなく"素晴らしい"映画。
啀み合う兵士達は"何"に捕らわれて、相手を敵とみなし殺めるのか。
人にはそれぞれの理念や信念が在り、それを受け入れるか否かによって、物の見方も大きく変わっていく。
相手を受け入れる事が、自らの敗北の様に思えてしまう為に、相手を理解しようとせずに傷つけるのかもしれない。
お互いが少しづつ理解し歩み寄るだけで、人は何一つ自分と変わらないと教えてくれる老人の強さの裏にある悲しみが胸を穿った。
兵士の「何故、ここを離れない?」の問に、「大好きだけど、大嫌いだからだ」と答える老人。
その姿は誰よりもたくましくカッコよかった。

素晴らしい作品だと思うので是非!