ふじこ

ガールフッドのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ガールフッド(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

移民の少女マリエム。家に帰れば暴力的な兄と幼い妹たちの世話に追われ、母は働き詰め。
そして成績不振で高校へ進学する事も出来なくなってしまう。
それを伝えられ、むしゃくしゃしながら歩く道すがら不良少女と思しき3人に声を掛けられ、仲良くなるにつれマリエムの素行も悪い方へと落ちていく。
片思いだと思っていた人は両思いだったけれど、兄の友達なのでそういう文化なのか付き合えない。けどこっそり会ってイチャイチャしたり、他の不良グループの女と戦ったり、誘われて薬物を売るようになってしまう。
ってお話。

暗い世界で青く輝く黒い肌はとてもきれいだけれど、自己表現も居場所もこんな風にしか得られないのは悲しいことだと思う。
けれど当事者にとってはそれ以外に選べる道が少なくて、ないように思えて、それでもマリエムは望む未来や夢を掴みたくて藻掻き彼氏の求婚も断り、家に戻ろうとしてやっぱりやめる。
最後は何かの決意を秘めたような顔で踏み出していくシーンで終わり。結論はない。
今ここで何かを選んだとしたって、マリエムの人生は続く訳でそれは分かるんだけども。
16歳の少女に世界は厳しすぎるし、ままならない世の中をそれでも夢を求めて歩き続けるのかなぁ…。

自分は不良少女になってしまったとしても、少し下の妹には同じようになってほしくないと思っていて、妹たちの事をとても大切に思っているのが観える反面で、彼女もまた年若く夢や憧れを持っていて当然で。
本当なら兄だって揃って妹の面倒をみて家にお金を入れてもおかしくないような年齢に見えるのに体裁の為に暴力を振るったりする。
なんとも行き詰まりで息の詰まる話だったなぁ。
若者を食い物にしようとする大人も何処にでもいるのも嫌だわ…。

不良少女仲間とディズニーに行って笑い合った事を、完璧な瞬間だった、一生忘れない と呟くマリエムが切なくて胸がキュッとしてしまった。
ふじこ

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