回想シーンでご飯3杯いける

14の夜の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

14の夜(2016年製作の映画)
3.0
尾崎豊のデビュー曲「15の夜」は、彼が14才の時に経験した事をもとに作られたというのは割と有名な話であるが、本作がそのトリビアから着想を得たかどうかは不明。「百円の恋」で日本アカデミー賞の最優秀脚本賞を受賞した足立紳の初監督作品になる。

飲酒運転がきっかけで自宅謹慎の身になっている父親に苛立ちを覚えた少年の、親への反抗、性への衝動、田舎特有のヤンキー社会への悶々とした不満等を描いた、熱い青春映画だ。舞台が'80年代という事で、大槻ケンヂ原作で後に映画化された「グミ・チョコレート・パイン」のような作品を期待したが、大枠では近い作風である。こういう映画は基本的に大好きだ。

ただ、'80年代っぽいのは「VHSのエロビデオ」だけで、中学生達の服装も、髪形も、行動も、いまひとつ当時っぽさがない。よくよく考えてみるとエキストラが1人も出ていない。田舎特有の孤立した社会を表現したかったのか?作品固有の世界を構築したかったのか?は定かではないが、都会や流行への憧れや、大人社会との接触から背伸びしたくなるのが、この年頃の衝動の根本的な部分であり、映画でも必須要素だと思うので、そこが抜け落ちているのが残念だ。AV女優の名前が「よくしまる今日子」だけでは小手先っぽくて物足りない。