ヴェルヴェっちょ

ハイネケン誘拐の代償のヴェルヴェっちょのレビュー・感想・評価

ハイネケン誘拐の代償(2014年製作の映画)
3.3
ハンニバル・レクターを誘拐しちゃダメだって!

実話を基にし、犯人側から巨大ビール会社社長ハイネケンの誘拐事件を描いたクライム・サスペンス。
1983年、オランダ・アムステルダム。会社の経営不振に苦しみ、銀行からの融資も断られて窮地に立たされたコルら幼馴染み5人。
捨て鉢になった彼らは、大ビール企業「ハイネケン」の会長、フレディ・ハイネケン(アンソニー・ホプキンス)を誘拐する。
世界でも指折りの大富豪であるハイケネンの誘拐は世間を驚かせ、警察も巨大組織による犯行を疑うが、犯人は犯罪素人の青年たちだった。
コルら犯人グループは大胆不敵な計画を実行し、史上最高額(当時)の身代金を要求。
全ては上手くいっていたはずだったが、人質であるハイネケンの傲慢な言動に5人は次第に翻弄され、歯車が狂っていく…。

若気の至りもここまでくるとやるせない。
「大金と、友情の両方をもつことはできない」というハイネケンの至言が、この作品の核心をついている。 些細なことにも神経質になり、諍いが絶えなくなる仲間たち。良心の呵責に耐え兼ね、「もう投降しよう」というメンバーも出てくる。
そう、彼らは冷酷非道な悪人ではなく、絶望に打ちひしがれたありふれた青年たちだった。

本当、友情はお金で買えないし、壊れた友情の修復は困難で、取り返しのつかないこともある。
人生甘くないってことをまざまざと見せつけられる。

それにしてもアンソニー・ホプキンスを監禁するなんて!『羊たちの沈黙』を髣髴とせざるをえなかった。もちろん誘拐自体ダメだけど、ハンニバル・レクターの誘拐は絶対ダメよ!