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夜の人々のyasuyukiのレビュー・感想・評価

夜の人々(1948年製作の映画)
5.0
自分のいる世界に居場所がない青年と娘が出会ってしまって、さらに二人がボウイとキーチという名前を持つとなれば、彼らの運命は決まっている。

世界から逃げるようにバスに飛び乗り、偶然通りかかった場所で20ドルの未来と車を買って、おままごとみたいにして始まる二人の逃避行。美味しいものを食べたり、なれないキスに照れてみたり、とりあえずくっついて喜んでみたりする二人の姿があまりにもチャーミングであまりにも無防備で、彼らの名前がボウイとキーチである事を忘れてしまいたくなる。けれども世界は二人を追いかける、夜は近づいてくる。

そして静寂、虫の鳴き声、汽笛、「手を上げろ」、銃声、悲鳴。夜の影の中に浮かび上がる永遠の12時10分前。それは明日の少し前のこと。

世界で一番大好きな95分間と言っても良いくらいに素晴らしい作品で、“They Live by Night”という原題からしてカッコよすぎるし、ファーリー・グレンジャーとキャシー・オドネルは美しすぎる。

明けない夜とニコラス・レイの始まり。
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