◆あらすじ◆
アーサー・ブレナンは自殺をしようと日本の青木ヶ原樹海に訪れる。そこでアーサーは負傷した日本人男性のナカムラに出会い、彼が樹海を出ることを手伝うことになった。しかし、2人は樹海から出られず、過酷な状況の中でアーサーは自殺するまでに至った過去を思い出す。
◆感想◆
自殺を思い立ったアメリカ人男性が日本の青木ヶ原珠海に訪れ、その中でさまよう日本人男性と出会い、脱出を助ける過程で過去を思い返し、生への渇望へと変わっていく姿を描いた作品です。
主人公のアーサー・ブレナン(マシュー・マコノヒー)は自殺に理想的な場所として日本の青木ヶ原珠海に訪れており、私は一日本人としてかなり迷惑な人物に思いました。それはさておき、彼はそこでケガしてさまよう日本人のタクミ・ナカムラ(渡辺謙)と出会い、ナカムラが樹海からの脱出を望んだので、ナカムラを助けようとしますが、ともに樹海に迷って出られなくなってしまいます。
アーサーはナカムラと樹海をさまよううちに妻のジューン(ナオミ・ワッツ)との過去を思い返します。アーサーとジューンの間でお互いの心情のすれ違いがありながらもその裏側にはちゃんと愛情があったことを感じられて良かったと思います。
本作最大の問題点として、青木ヶ原樹海として映される風景が「どこが青木ヶ原樹海なんだよ?」と疑問に思うくらい、リアリティがなくて舞台として青木ヶ原樹海を選んだ意味が全く感じられないところにあります。そして、謎の日本人のナカムラのセリフでオカルト的な意味合いを樹海に付け足そうとしていて、なんとも陳腐に感じられて仕方なかった。樹海に大雨が降って濁流に2人が飲み込まれるシーンがあって、あまりの違和感に笑ってしまいました。他作品でも青木ヶ原樹海をテーマにしたものは多数ありますが、本作より遥かにましだと思います。
青木ヶ原樹海が舞台でなければそれなりに良かったと思うのですが、舞台の違和感が凄まじく作品に気持ちが入っていきませんでした。
鑑賞日:2024年6月1日
鑑賞方法:BS松竹東急
(録画日:2023年9月20日)