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追憶の森のDSPECのレビュー・感想・評価

追憶の森(2015年製作の映画)
3.5
しょぼくれた、外国人と日本人のおじさんが富士の樹海で何やらボソボソと…

富士の樹海の自殺の名所という悪いイメージを払拭したい日本の行政の撮影許可が出なかったのか、監督の判断なのか解らないが実際の撮影場所は富士の樹海ではないらしい。

この映画は自殺を肯定的に捉えているわけでは無いが、積極的に自殺否定をコンセプトにしている話しでもない。
少なくとも富士の樹海の、人々を惹きつける神秘的な美しさを前面に押し出していて、結果的には自殺をしたい人にとっては、富士の樹海は幽玄で崇高な魅力的な場所と捉えると思う。

あってはならない事だが、最後の死に場所を探している人がこの映画を観て、感化され理想の場所として富士の樹海を選んでも不思議じゃない。
富士山がやっと世界遺産に認定されたのに樹海での自殺者が増えるんじゃないかと複雑な気持ちで鑑賞していた。

死に場所を求めて富士の樹海に入ったアーサーが何故、突然に生きる事への執念を燃やし、死から生きる選択に至った経緯は何なのか?この映画におけるキーポイントだと思うが、監督の意図なのか、彷徨う日本人が届けるアーサーの奥さんからの “メッセージ ” の方を重要視し、肝心な部分をすっ飛ばした印象を受ける。
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