人物列伝。好きなジャンルだ。
ボビーフィッシャーの「瞬間最大風速」を感じ入る。きっと当時生きていたら、それもアメリカ人なら熱狂していたのだろう、とも思いながら。
同時に。数学物理界のペレルマンを思い出した。世紀の難問ポワンカレ予想を解いた大天才だ。彼も精神を病み失踪した。
なぜこんな無茶な条件をだすんだ、彼は負けたがっているのか？とキレる弁護士に対し、セコンドプレイヤーで牧師はこう言う、「勝つのを恐れてる。そのあとの未来を」と。この言葉がこの映画のヘソだ。勝負と頭脳と自意識と精神。羽生さんもボビーフィッシャーを後に支援した一人だ。
ボビーのわがままはこどもそのものだ。
チェス以外の精神性。ここに父親の不在はなかった、とは言えないだろうと観ながら思っていたが、それがなんだ？とも思う。
一人の天才の半生を、切り取った、彼自身に興味をもつ良作。
