こたつムービー

糸のこたつムービーのレビュー・感想・評価

(2020年製作の映画)
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こーれーは、面倒だぞー・・
今回でフェア終わろう、もう胸焼けだ。追憶映画祭フューチャリング余命系まつり、最後は本作。


良いとこ。
途中までちゃんと真っ当に「追憶映画」なところ。初恋と時を経たギャップはマストだがその要素はしっかりある。ちゃんと労働シーンもあり、まともな分岐を示すモダンな映画だ、途中までは。映像的セットアップもちゃんと真っ当。小松菜奈が俳優としてキャッチが良い。

悪いとこ。最後全般。
明らかに物語が息切れしゴーインなハッピーエンドはそれまでの積載点が総崩れだ。これがオリジナル脚本の知性の限界と、テレビ主導(これはTBSと東宝)の腰の引けた実体かな。終わりにかけマイナス1億点となる。

話の展開は「欲張って全部ツバつけました!」という処があり、これが多分一番近いが

フォレストガンプ

なんだよな。平成という魔法陣を張り、やってることはフォレストガンプ。あの映画は射程が広いがこの映画も途中まで実は「日本離れ」する感じのスケールがあるんだが、それもまた「玉ねぎの芯探し」のように剥いても剥いてもコアがよくわからんのだよ。そんなときは結局映画が「最後どう抜けるか」で判断するしかないがそうなると

ナシ

だな。アリっぽくみせたナシですよ。
それくらいこの映画のラストは犯罪的に凡庸だ。

中島みゆきというモチーフも、そもそも中島みゆき自体の磁場が強烈なことをどれだけ反芻して臨んだのだろうか。映画内重力がだいぶヨレるし、今を彩る旬のキャストと音楽がフツーにあってない。

現れては消える斎藤工や山本美月の出し入れや、初恋は初恋で現実はちゃんとお互い違うパートナーがいるとか、そのリアリティ進行がアメリカ映画のような乾いた感覚があってよかったんだが、残念だ。結局は浪花節でしたテヘペロ!って素顔見せられる感じ。そんなスケール溢れるガックリ映画でした。


追憶映画フェア、これにておしまい。
「past lives」やセカチューがいかに優れていたか、よくわかったよ。一つ言えるのは

似通うからこそ、作り手の精神が露わになる

ということかな。では!