うーら

ピクニックのうーらのレビュー・感想・評価

ピクニック(1936年製作の映画)
3.8
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監督:ジャン・ルノワール
(印象派画家オーギュスト・ルノワールの次男)
原作:フランスの自然主義の作家モーパッサンの短編「野あそび」
撮影:1936年
公開:10年後の1946年(未完のまま公開)
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第2次世界大戦中、完成前にドイツ軍によって破棄されてしまった同作だが、オリジナルネガがシネマテーク・フランセーズの創設者アンリ・ラングロワによって救出されていたことがのちに判明。

プロデューサーのピエール・ブロンベルジェが、当時アメリカへ亡命していたジャン・ルノワール監督の了承を得て撮影されなかった2つのシーンを字幕説明で補い、 1946年にパリで公開されたという奇跡的な作品。
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公開までがなんともドラマチック。


作品自体もモノクロ短編ながら、柔らかな色彩が感じられ、躍動感に溢れている。

草の香りや自然の木々の鮮やかさ、水面の輝き、柔らかな陽光…父親のセンスを受け継いでいるのが一目瞭然の美しさを映像に収めている。

有名なブランコのシーンを拝めただけでありがたい気持ちになった。

内容だけみると、なぜ恋に落ちたのか正直わからないというのが率直な感想ではあるし、少し退屈に感じる部分は否めないけど、約40分の中で一瞬の恋の煌めきをこんな風に表現するするのか、と現代に生きているとわからない部分もふくめて瑞々しく感じる作品だった。