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ピクニックのesのネタバレレビュー・内容・結末

ピクニック(1936年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ギ・ド・モーパッサンの短編小説"Une partie de campagne"(1881)が原作。
ジャン・ルノワール監督による未完の作品。50分程度の作品として予定していたが、悪天候による度重なる撮影延期などによる理由でお蔵入りしたものを、1946年に強制収容所から帰還したプロデューサーのピエール・ブロンベルジェがマルグリット・ウーレ(マルグリット・ルノワール)の編集協力のもと監督の許可を得て作品としてまとめたもの。冒頭にも説明があるが、監督のジャン・ルノワールは1939年にイタリアで『トスカ』を撮影中イタリアが第二次世界大戦に参戦しフランスに帰国。1940年にドイツの侵攻が始まった為アメリカに渡りこの作品が公開された1946年にはフランスに居なかったため最終カットには関与していない。

ジャック・ベッケル、アンリ・カルティエ=ブレッソン、イヴ・アレグレ、クロード・エイマン、ルキノ・ヴィスコンティ。この錚々たるメンバーがアシスタントディレクターを担っている。
作品に纏わるエピソードにドラマを感じてしまいこの映画の感想を忘れてしまいそうになる。

ブランコに乗っているアンリエットを生き生きと撮った映像が印象的だが、撮影方法が凄い。ブランコの座る部分を撮影機器と撮影監督で挟むように固定し別の人間が揺らしながら撮影。良い画を撮る為の努力が感じられる。

作中で描かれる風景は監督の父であるピエール=オーギュスト・ルノワールの絵画「小舟」「シャトゥのセーヌ河」「ぶらんこ」「日傘をさすリーズ」「恋人たち」などを想起させる美しさ。
モーパッサンの原作では、緑豊かな風景と共に砂埃や肥溜めの臭いや工場からの煙や石油のにおいなど厄介で美しくはない部分の描写があるが、映画では田舎の人間の口から実情が語られるだけで、映し出される映像は大して裕福ではない一家のフィルターが掛かっているのか美しい景色のみ。

都会から来た男2人が魚釣りに夢中になるのに対し、田舎の男2人は都会から来た女達を釣る事に励む。
多くの決定に関して受身でなければならず、行動には男性の許可がいる女性達。そんな中、ラストシーンでアンリエットにボートを漕がせた所が印象的だった。
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