けまろう

ヴィクトリアのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィクトリア(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

『ヴィクトリア』鑑賞。ピアニストの夢潰えた承認欲求不満の少女ヴィクトリアのスリルドラマ。夢を諦めた挙句、半ば自暴自棄にクラブで遊ぶヴィクトリアは、地元のゴロツキにナンパされそのままギャングが関わる事件に巻き込まれていく。
承認欲求不満というのは本当に恐ろしいもので、ヴィクトリアが事件に巻き込まれていく発端は、その承認されない自我の不安定さゆえなのだ。音楽院で競い合っていた同級生や認めてくれなかった教授たちのせいで、ヴィクトリアは認められることに飢えている。ふと深夜のカフェで弾いたリストの『メフィストワルツ』を地元のゴロツキであるゾンネに褒められ、その承認された感覚が次第に盲目的な恋となり、ヴィクトリアは自ら事件に足を踏み入れていく。
ラストシーン、ゾンネの死亡に対してひとしきり「泣き切った」ヴィクトリアは、再び自分を承認してくれる相手を求めて、ベルリンの街中へ消えていく。承認欲求不足の恐ろしさと女性の残酷さが表れている凄さ。
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