たく

怪物はささやくのたくのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.8
少年がいかに現実と向き合うかっていう話にジーンときた。「パンズ・ラビリンス」のプロデューサーとのことで、幼い存在の現実逃避にファンタジー要素を取り入れる描き方が共通してた。テリー・ギリアムが「ローズ・イン・タイランド」でファンタジー映像無しでこれをやろうとしてたね。J.A.バヨナは「永遠のこどもたち」の監督で、本作は母子の視点を裏返した感じだった。

悪夢から目覚める冒頭からとにかくコナー役のルイス・マクドゥーガルが抜群に上手くて、本作の魅力の半分を占めてる。母親の体調不良を認めたくないのと、学校でいじめにあってる境遇の中で自分を押し殺してるコナーの前に、突然怪物化した巨木が現れて予言をするという不条理なダーク・ファンタジーがちょっと「ドニー・ダーコ」を思わせる。この怪物登場シーンのダイナミックなカメラワークが巨大感をうまく表してて良かったね。

幼いコニーにとってのキツ過ぎる成長物語が終始彼の一人称目線で進んで行くんだけど、ラストで初めて母親の目線が入るところがジーンとくる。
フェシリティー・ジョーンズの痩せた役作りがすごくて、痛々しい見た目がハマってた。シガニー・ウィーバーがちゃんと俳優として画面に登場するのを見るのは久々な気がする。
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