とてもよかった。ファンタジーのようでいて、現実的、実践的な哲学で。児童文学が原作だけど、いくつもの別れや辛い経験をしてきた人には刺さると思う。
人生史上最大の苦しみを負った少年が生み出した破壊的な(グルートみたいな)怪物と少年との対話。
少年に限らず、受け入れ難い辛い現実の前で、人は現実から逃げたくなる。逃げたら罪悪感に苛まれる。いくつものベクトルの間で葛藤し、引き裂かれないように、自分の心を守る。
でも…それでいいの?と問いかけられていた。現実を受け入れる辛い扉をそのときに開けなくても、またいつかその扉が立ち開かる。
恐れ、向き合わない自分を罰しようとする怒り。自分を懲らしめてまで向き合わないように自分を守るという矛盾。
堂々巡りを続け、なんの進歩も前進もない。
自己憐憫も同じ。殻の中から出ることはない。
為すべきことは、向き合うこと。その扉を開けること。
🌳西洋では宗教的な知恵の樹とは別に、巨木が知恵を授ける象徴として存在しているみたい(他作品でもありました)。日本ではあまりに身近すぎてからか、木から知恵をもらう話を聞いたことがないのです。どなたかご存知でしたら教えてください。