odyss

パリ3区の遺産相続人のodyssのレビュー・感想・評価

パリ3区の遺産相続人(2014年製作の映画)
2.7
【作り方を間違えている】

アメリカ人の中年男(ケヴィン・クライン)が、父の遺産であるパリのアパルトマンを受けとるべく現地におもむいたところ、90歳の老婦人(マギー・スミス)とその娘である中年女性(クリスティン・スコット・トーマス)が住んでいた・・・というところから始まる映画。

実はこの遺産は「ヴィアジェ」という制度によって父に譲られていた。この制度によると、売り主は格安で売る代わりに、死ぬまでその住居に住む権利を持ち、なおかつ買い手は売り主に毎月一定のお金を払わなければならない。
売り主が早く死ねば買い手の得になるが、売り主が長生きすると買い手の損になるという、いわば賭けみたいな制度なのである。
中年男は貧乏で、老婦人に払うべきお金を入手するのにも苦労して・・・

前半は制度の奇妙さから生じる喜劇で、まあまあ。
しかし後半に行くと、登場人物の意外な過去が浮上してくるのだが、最後はご都合主義的なラストに至るために、かなり問題含みの映画になっている。

前半と後半が別物の、作り方を間違えた映画、でしょう。
odyss

odyss