がちゃん

ファンシイダンスのがちゃんのレビュー・感想・評価

ファンシイダンス(1989年製作の映画)
3.7
お寺を舞台に描かれた青春コメディ、
一般作品の周防正行監督のデビュー作です。

そして、
アイドル『シブがき隊』のモッくんから、
俳優本木雅弘に変わった記念すべき作品ともいえます。

親の寺を継ぐために、
山奥の禅寺に修行に入る本木達。

寺の修業は厳しく、
理不尽とも思える修行もあったが、
数々の修業に耐えた本木は修行僧たちのリーダーに指名され、
修行僧全員から禅問答を受ける、
『法戦式』の洗礼を受け・・・

原作はコミックということですが、
お坊さん=コメディというアイディアは面白い。
厳しい修行の中に垣間見れる修行僧たちの人間臭さがいいですね。

お経をあげたりするときはもちろん、
食事やトイレ、
さらには寝る姿勢まで型があり、
みっちりと仕込まれる。

ただ、
古参の修行僧がいないときに、
古参の部屋に隠してある檀家さんたちからの土産物なんかを盗み食いしたり、殺生が禁じられているのにもかかわらずお寿司をたべたりと、
ここらあたりが人間臭くていい。

山寺の修業は1年間だと信じて本木の帰りを待つ女が、
鈴木保奈美。
場面は少ないがいい味出してた。
『カ~ンチ』(東京ラブストーリー)はこの後ですね。

時にしつこい演技が気になる竹中直人も、
控えめながらいい味出してる。
カツラかぶってキャバクラ行ったりするんだ。

そして主役のモッくん。
クライマックスの、『法戦式』のシーンはそれまでのコメディ演技が嘘のような迫力。
名シーンだね。

周防監督の演出は、まだ少しこなれていないところがあって、
少し間がずれるところがあるのが惜しかったかな。
『Shall we dance』なんかは完璧なんですけどね。

それでも、
地味になりがちな素材をここまでエンターテイメントに仕立て上げることができたのは、モッくんの存在感と監督の力量なのでしょう。

サラリーマン時代に、
会社の研修で宇治の萬福寺に行かされて、
お坊さんに警策で思い切りしばかれたのを思い出しました。
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