ハレルヤ

美しい都市のハレルヤのレビュー・感想・評価

美しい都市(2004年製作の映画)
3.5
16歳で殺人を犯してしまい、死刑判決を受けたアクバル。18歳の誕生日を迎えて死刑が可能になり絶望する彼を何とか救おうと、出所した友人であるアーラは奔走するイラン発のドラマ。

「別離」「英雄の証明」で有名なイランの名監督アスガー・ファルハディの長編2作目。イランの刑法について踏み込んだ内容になっています。

日本との違いもかなり明白で、16歳でも重罪と判断されたら死刑になる。執行は18歳から可能。その刑の重さも被害者の裁量によって変わるケースもある。今まで知らなかったイランの刑法をよく知れた作品でした。

ただ映画としてはかなり単調。この監督の持ち味を理解している前提じゃないとかなり退屈だと思います。いつ来るか分からない死刑を意識するようになってしまうアクバル。その事実を知った友人のアーラ。アクバルが原因で娘を失った父親。様々な人々の葛藤が描かれ、この時から監督の心理描写の巧さが伺えます。

モヤモヤを抱えたままの結末も、監督の他の作品と同様。色々と考えさせるものでした。アスガー・ファルハディ監督作品が好きな方なら一見の価値はあると思います。
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