ニャーすけ

リリーのすべてのニャーすけのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
2.6
歴史上初めてMtFの性別適合手術を受けた実在の画家、リリー・エルベをエディ・レッドメインが演じた伝記映画。

アイナー・ヴィーグナーとして男性に生まれたリリーが、生物学上の肉体と性自認との狭間で引き裂かれていくのは当然として、妻のゲルダ(最近まったく見なくなったアリシア・ヴィキャンデルが好演)が愛する夫である「アイナー」を失うことに深く傷ついていく過程も丹念に描かれるため、観ていて相当しんどい。

トム・フーパーの演出も生真面目すぎて、『英国王のスピーチ』みたいにもっと遊びがあればいいのになと思いつつ、リリーがのぞき部屋の踊り子を見て女性の艶やかな所作を真似るシーンなど、結構性的に生々しい描写が多いのはリアリティがあって良かった。また、死ぬほどベタなメタファーではあるけれど、撮影の美しさもあってラストカットは素直に感動した。
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