ニャーすけ

ロボコップ ディレクターズ・カット版のニャーすけのレビュー・感想・評価

3.6
タイトルに「ディレクターズ・カット版」との表記は無いが、現在アマプラで配信されているのはこのヴァージョンらしい。もしかすると、今は劇場公開版ではなくこっちがスタンダード扱いになっているのかもしれない。ヴァーホーヴェンの容赦無い暴力描写を堪能するには都合が良い。(有毒廃液を浴びた悪党が車に轢かれてビッチャビチャに四散するシーンはもはやゾンビ映画の域)

「サイボーグ警官の大活躍!」というお話の発想自体はバカガキ並みだが、軍産複合体への痛烈な批判をキリストの再誕というメタファーを重ねて描くことで大人の鑑賞に耐え得るクオリティに高めているのは本当に凄い。冷戦などを皮肉ったテレビCMの数々も効果的だが、この演出は『スターシップ・トゥルーパーズ』でより先鋭化することとなる。
ハリウッド期のヴァーホーヴェンを支えた撮影監督、ヨスト・ヴァカーノによる冷たく殺伐とした映像もめちゃくちゃかっこいい。本作で見られるデトロイト(実際のロケ地はダラスだが)の荒廃はその後も悪化の一途を辿り、昨今は現実のほうがよっぽどディストピアになってしまっているのが恐ろしい。

余談だが、高校時代に初めてナンシー・アレンを見たときは(なんだこのおばさん顔のヒロインは!)と失礼極まりない感想を抱いてしまったのだが、自分もおっさんになった今はこの感じも結構可愛いんじゃないかと思いました。アレンさんすみませんでした。
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