スズタカ

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リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.4
世界で初めて、性転換手術に挑んだ男性と、その妻の物語。

という事前知識のみで観賞。

始まって、こういった映画につきものの"事実を元にした物語です"という類のテロップが出ないことに、おや?と多少の違和感。

作品自体のストーリーは上記の通りで、事前の認識に全くブレなく、それ以上でも以下でもなかったです。

エディ・レッドメインのルックスと、すごい演技があってこその説得力なのですが…どうにも出てくる人物や社会環境というか、周りの人々が女装癖のある主人公に優し過ぎやしませんか?

劇中での周囲の反響描写として、女装した彼を、本当の女性だとは誰も思っていないんです。誰もが見破っているんです。

なのに、それに対して嫌がらせみたいなのは、町のチンピラ2人組に絡まれた1回だけなんですよ…。おかしくないですか?この映画の駄目なところは、ここだと思いました。

主人公に対する社会の風当たりの強さの表現が甘いので、当時の性同一性障害者の社会的な扱いを間違って認識させるし、この映画にとって1番大切な、主人公の取った行動や決意の凄さまでも伝わらなくなってしまっていると思います。

観賞後に調べて分かったのですが、実在の人物ではあるけれど、生き方などの概要は事実だけど、それ以外はフィクションなんですね。

と、すれば、尚のこと作り方を間違ってるよ。

事実を改変したことによって、本来伝えなくてはいけないメッセージが、ボンヤリしてしまったね。
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