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ある天文学者の恋文のmasa22のレビュー・感想・評価

ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)
3.2
観終わった後の感想。原題の「correspondence」は文通という意味らしいが、邦題の「ある天文学者の恋文」は、字幕翻訳の松浦美奈さんが付けた訳でもあるまいが、いかにもとそれらしいタイトルには違いないが、秀逸な気がした。映画は、先ずは本(脚本)、次にキャスティング、と思っているが、たまにこれが逆転する作品がある。今作がまさにそうで、ジェレミー・アイアンズも良いが、とにかく、ヒロインのオルガ・キュリレンコが抜群に良い。冒頭から妖艶な女としての性を見せたと思うと、学生として未熟な素朴さを纏い、愛しの異性を想い憂う表情、終盤見せる屈託無い笑顔。今作で彼女は、美しさの領域の幅広さと、観る人を惹きつけて離さない演技力で、現代映画界でもトップクラスに登り詰めた気がする。多分、当分は今作が代表作となるだろう。そうした意味で、作品としての骨子である、“恋愛ストーリー”としては、見事に成功した。やはり、ジュゼッペ・トルナトーレ監督は“意図”を貫く職人である。
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