Denkishino

ある天文学者の恋文のDenkishinoのレビュー・感想・評価

ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)
3.6
原題は「Correspondence」
文通って事なんでしょうか。調べたんですが、日本語以外は疎くていけません。
最冒頭。女性といちゃいちゃした後、一人の男性がホテルの一室から出て周りをキョロキョロ、ネクタイを直して自室へ。数分でわかる、ちょっと褒められた関係ではない事。この恋愛観は、日本人にはあまり受け付け難いでしょうか?世界的に?不倫報道に湧く近年ですが、それも嫌悪感からの事。相手の家族が受け入れてくれる事など、まずあることでは無いでしょうね笑 設定として、直接なかなか会えず、手紙や動画を送る状況とはどんな物かと考えれば、やっぱり不倫な関係になるかも知れませんね。真っ当なら、最優先で会えるんですから。そのズレも、その壁があってこその、それでもどうしても。という気持ちもあったのか。
さて、この辺は文化の違いや、映画の演出として楽しむとして、内容で観ればなかなかにファンタジーで純愛な話であります。不倫な関係は最早無視しても良いくらい。その救いは教授の奥様が出てこない事。出れば、ただの泥沼と化すだけですから笑そして、なかなか良いなと思うのは、教授の手紙や動画が、地球に届く星の輝きの様に感じたこと。劇中でも少し触れていましたが、この地球から見えている星は、その星の過去を見ている事になります。光は文字通り、光の速度で地球に到達しているわけですから、光の速度で掛かった時間分の過去を見ていることになる。それも10万年とか100万年とか。特に超新星爆発などで星が終わりを迎えた光は、地球から見えた時点で、その終わった星の現場では、星自体も、放った光も消えている可能性があります。教授の手紙は、その星の光のようで、影のみを残すものだったと思います。いつものタッグ、トルナトーレとモリコーネ。音楽はしっとりとして良く、エンドロールでは良い余韻を残してくれました。ジェレミー・アイアンズは教授の役柄にピッタリでした。オルガ・キュリレンコも役柄の持つちょっと複雑な状況をしっかり抑えていました。教授と生徒の星の瞬きの様な時間。ちょっと不思議で、なかなかロマンチックなお話しでした。でもやっぱり不倫の要素って欲しかったのかなぁ…そこはよくわからず…笑
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