あんじょーら

ゴッホ 真実の手紙のあんじょーらのレビュー・感想・評価

ゴッホ 真実の手紙(2010年製作の映画)
2.6
アンドリュー・ハットン監督     BBC     Amazonprime


2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は2/21


ゴッホ、特別に好きな画家、という訳ではありません。が、数年前に東京都美術館で行われた(ゴッホ展 響き合う魂ヘレーネとフィンセント)で観た「夜のプロヴァンスの田舎道」の凄さ、まるで糸杉が蠢いて、星が瞬いて動いているように見える絵画にヤラレマシタ。確かに、これは凄い!となりましたし、ゴッホが特別好きになる人がいるのも、理解出来ます。


そして、いろいろ調べたり読んだり映画化されたものを体験しているうちに、私が気になるのは弟のテオなのだと理解出来ました。


全然売れる予想もなく、非常に感情の起伏の激しい、それでいて完全に生活を依存されている弟のテオの、心情が気になるのだと思います。しかも絵の1番の理解者でもあり、家族という遺伝子的にも逃れられない他者の中で最も近い存在でいる事の苦しみみたいなものに興味があるのだと思います。


残念ながら、テオとフィンセントの書簡のほとんどは、フィンセントがテオに宛てた者ばかりが残っていて、私にとって肝心のテオがフィンセントに宛てた手紙はほとんど現存していないのです。でも、そういう所も、また惹かれる部分でもあるのですが。


で、そのフィンセントを、ベネディクト・カンバーバッチが演じている、しかもBBCだ、という事で観ました。


特に目新しい事実もなく、淡々と進んでいきます。どちらかと言えばテレビの特番のような感じです。カンバーバッチもイイ感じで軽めの力の抜けた演技で好ましく感じました。



フィンセントが亡くなった後、ほぼ半年後にユトレヒトの精神病院で亡くなる事となったテオの事を考えると、そこに美しい兄弟愛とか、援助を惜しみなく注ぎ込む献身とか、そういったホモサピエンスの善性も理解はできるのですが、それだけでない、負の感情も沸き起こりつつも、それでもよき理解者で援助者であり続けられ、同時に、フィンセントの死をきっかけに衰弱してしまうテオの心情を知りたいと思うのです。とても複雑だとは思うのだけれど。


フィンセントに興味がある方にオススメします。