ハレルヤ

ふたつの名前を持つ少年のハレルヤのレビュー・感想・評価

ふたつの名前を持つ少年(2013年製作の映画)
4.0
ユダヤ人の少年スルリック。第二次世界大戦でのナチスドイツの迫害から逃れて、匿ってくれた夫人によりユレクという名のポーランド人として生きていく事を決める。行く先々で多くの災難に遭いながらも懸命に生き抜くユレクの姿を描いた実話を基にした戦争ドラマ。

ユダヤ人迫害をテーマにした映画は多くありますが、本作もかなりの良作の部類に入る仕上がり。両親と離れ離れになり、何度も追われたり、捕まっても脱走したり、色んな人に助けてもらいながら戦渦をくぐり抜けていくユレク。

大切にしている犬が撃ち殺されたり、自分を匿ってくれた人の家がナチスによって焼かれたり、不運な事故で自らの右手を失う悲劇もあり、普通の大人でも心が折れそうな出来事だらけ。それでも父親の「絶対に生き延びろ」という約束を守るべくひたすら前を向くユレクの姿を通じて、戦争の悲惨さ、生きることを諦めない姿勢を感じ取れた気がします。

ユレクの場合は出会った人々は良い人ばかりなのが不幸中の幸いですが、実際当時はもっと壮絶な体験をした子供も沢山いたでしょう。改めて戦争がもたらす災厄に憤りが沸きました。

同じ戦禍での少年の運命を描いた映画と言えば「異端の鳥」がありますが、この作品はあれほど酷い描写は無く、まだ見やすい形だと思います。
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