ナチス支配下のポーランドで、ゲットーから逃げ出しポーランド人として振る舞い生き延びていく少年を描く。この時代のこの種の話の例に漏れず、これも実話なのか...当然ながら彼を追う「悪」も登場するが、自らの危険を顧みず主人公ユレク(あえてポーランド名で呼ぶ)を助け生きる術を授けていく市井の人々の気高さに心打たれるし、数奇すぎる運命の中で徐々に逞しくなり最後に思わずぐっと来る決断を下すまでになったユレク自身の強さが何より印象的。何も考えてなくても一応生きていける世の中だが、ここに登場した人々の気概だけは忘れずに受け継ぎたい。