てる

ゲキ×シネ「蒼の乱」のてるのレビュー・感想・評価

ゲキ×シネ「蒼の乱」(2015年製作の映画)
4.5

天海祐希が美しいこと。神々しい。
登場から見惚れました。

なんだか前半は駆け足気味で、どうにもしっくりきてなかった。役者の芝居と装置と舞台と照明がいまいち噛み合ってなくて、あまり引き込まれなかった。もっさりしたしていた。
しかし、平幹二朗が舞台に現れた瞬間に映像が引き締まった。そこからの芝居は良かった。話しもようやく動き始めたというのもあるかもしれない。
平幹二朗の存在感は凄まじかった。当時80歳。一般の人であるならば、ヨボヨボのはずなのに、全くそれを感じさせない力強さがあった。人間離れしたオーラを放っていた。化け物だ。お芝居の化身だと思った。まさに人に非ずと書いて俳優だ。
松山ケンイチも良かった。松山ケンイチって上手いのかそうでないのかよくわからない。なんとなく滑舌が怪しいというイメージだったけど、見直しました。男気溢れる真っ直ぐな男でした。イケメンだとは思ったことがなかったが、イケメンだと初めて思った。しょうゆ顔だと思っていたけど、鼻が随分高いんだね。
そして、天海祐希。本当に美しくて、格好良くて、最強の女武将でした。殺陣はあんまりやっていなかったけど、その目力と声の迫力がすごかった。
見得を切るとこなんて鳥肌が立った。もう少し将門御前の芝居を観ていたかった。
やはり、天海祐希は舞台映えする。さすがは元宝ジェンヌだ。自身のかっこ良さをよく心得ていて、その見せ方をよくわかっている。
『薔薇とサムライ』は外せない。絶対観に行く。

それにしても、本当に中島かずき節が効いた男気溢れるカッコいい話しだった。小次郎と蒼真が闘い合うのはわかっていたけど、そういう風に話を展開させていくのかと感心してしまった。いやぁ泣けたねぇ。
信念があるからこそ剣を交えるしかない2人。でも、その信念はお互いを想い合っているが故なのだ。お互いのためにお互いを傷つけあうなんて、本当に愚かなんだけど、彼らに愚かだと言える人は誰一人いないはずだ。だって、カッコいいんだもん。誰にも曲げることを許さない強い信念があるんだもん。辛いよねぇ。

そして、将門公の首塚の話を少しなぞっていたね。平将門の伝説を知っている人はなるほどと思わせる演出だった。
もしかして、平将門の物語をオマージュした作品だったのかな。
平清盛を演じた松山ケンイチだから、この配役だったのかしら。
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