8さん

ぼくらの家路の8さんのレビュー・感想・評価

ぼくらの家路(2014年製作の映画)
3.8
10歳と6歳の兄弟が行方の分からなくなった母を捜す3日間の旅を描いたヒューマンドラマ作品。

10歳のジャックは、6歳になる弟マヌエルの世話で毎日大忙し。優しいけれどまだ若いシングルマザーの母は、恋人との時間や夜遊びを優先していた。ところが、ある事件からジャックは施設に預けられる事になる。

友達も出来ず施設に馴染めないジャック。待ち続けた夏休みがようやく来るが、母から迎えが3日後になると電話が入る。がっかりしたジャックは、遂に施設を飛び出してしまうのだった…


『その日、僕等は大人になる事を決めた。』


お金もない、食べる物もない、寝る場所もない…。

10歳で弟も抱えたまま、この状況はあまりにも重く背負うものが大きすぎる。どの様な状況でも、知り得る限りの知恵を絞り出し優しい母の姿を探して歩く。

演技とは思えない、ドキュメンタリーを観ているのかと錯覚してしまう様な自然な流れで、夜中に街中をふらふら歩いている姿に寂しく複雑な気持ちを抱いてしまう。

言葉にしない心の言葉が、ジャックの表情や仕草や呼吸に表現されていて、どんな厳しい社会でも生き抜いていこうとする姿に胸を打たれる。

子供以上、大人以上、母親以上に弟を心配し思いやり、確実に母より大人に近いていくジャックの経験や決断は、今後の人生へどの様に影響してくるのだろうか?
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