アキラナウェイ

ヒメアノ〜ルのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
3.7
観るのに覚悟が要るだろうと長らく敬遠していたけど、自分の耐性が上がっていたので余裕で楽しめたやんこれ!

森田くん。

もう、そこに歌って踊るアイドルV6の森田剛はいない。

目が死んでいる。
人を殺すのに躊躇がない。
嘘を平気でつく。もしくは人格障害によるものか、会話が成り立たない(これサイコパスによくある傾向)。

これはなかなかのサイコキラーエンターテイメント!

平凡なビル清掃員のアルバイト岡田(濱田岳)と同僚の安藤(ムロツヨシ)。カフェで見つけたユカ(佐津川愛美)に一目惚れした安藤は同時にユカに視線を送る森田(森田剛)を不審に思う。安藤は岡田にキューピッド役になる様頼み、ストーカーから守ると言う名目でユカとの接触を試みる。

序盤は平和そのもの。
ムロツヨシのクセの強さ、濱田岳の受けの演技の妙。
成る程、原作者古谷実っぽいワールド展開。

しかし、森田に焦点が当たってから物語は暗転。
ここで来たかタイトルバック!!
めくるめくサイコキリングの世界に突入!!
この魅せ方、好きだなぁ…!!

以下、ネタバレ〜ル。

















殺してやる!
殺してやる!!
あ〜焼肉食いてぇ…
殺してやる!!!

鳴り止まない耳鳴り。

やっぱり森田は人格障害っぽいな…。
会話の辻褄の合わなさ。
恐らく壮絶なイジメ体験から、第2の人格が形成されたのでは?

いや〜、それにしても素晴らしい。
森田剛がいい!
自慰行為のシーン、3回くらいあったけど。本当にアイドルではなく役者として演じているのは好感が持てる。

そして、何よりラストシーンの一言。

「お母さーん!麦茶2つ持ってきてー!」

もう、この台詞で震えた。
それまでの森田ではない。高校1年生の森田くん。
その声色の違いに震えた。

そうか、昔の森田くんは犬を飼っていたもんね。咄嗟に犬を轢き殺す訳にはいかなかったんだね。

イジメが生み出したモンスター。
岡田くんが必死に訴えかけたから、昔の森田くんを呼び出したとも言えるね。

月並みな言い方だけど。
イジメ、ダメ、ゼッタイ。

森田がユカちゃんに執着する描写は弱かったけど、総合的に見て、キャスト、演出、森田。光るものも多く、なかなかの良作。