サマセット7

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!最終章のサマセット7のレビュー・感想・評価

3.6
オリジナルビデオシリーズ第7作品目にして最終作品。
監督脚本出演は「ノロイ」「貞子vs伽倻子」の白石晃士。
主演はシリーズ通じて大迫茂生と久保山智夏だが、今作では、前作に起因するある事情から、監督の白石晃士と宇野祥平が主演を務める。

今作では、前作ラスト以降の変貌した世界で、1人残されたカメラマン田代(白石監督自身)が、謎の人物江野(宇野)に導かれて、数々の試練を受ける様子が描かれる。

これまで以上に、一体自分は何を見せられているんだという、映像が全編にわたり続く。
1番しっくりする表現は、不条理コント、だろうか。
もはや笑えるかどうかも不明である。

しかし、終盤、シリーズのキーワードが繰り返され、謎の感動に包まれる。
ここまで色々な意味でメチャクチャな話で、感動を覚えるとは、驚異でしかない。

今作、というかシリーズのテーマは、そのキーワードで分かった気にさせられる。
それはそれとして、新しいものを作ってやろう、という気概は、たしかに達成されているように思う。

シリーズ通じて、ハマって一気見させられた。
他人に勧めるかはともかくとして、非常に独自性のある、面白いシリーズだった。
また、白石晃士監督の、こういう作品を撮ってきた監督、という文脈は、最近の作品の視聴にも参考になるだろう。

江野は、白石監督の過去作「オカルト」の登場人物だが、オカルトを見ていなければ、唐突な出現かつ説明も一切ないため、意味不明だろう。
作品ごとに関連をもたせること自体はいいと思うが、今作でいきなり説明なく主演を張らせてしまうのは、いかがなものかと思う。

独創的な、モキュメンタリートンデモ怪奇シリーズの堂々の完結編(世界観を一新した新シリーズあり)。
終盤の、ある展開での、久保山と大迫の見事な演技には吹いた。