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それでも、やっぱりパパが好き!のtoshiのレビュー・感想・評価

4.0
マーク・ラファロが躁うつ病のお父さんを演じた作品でございます。皆さんのレビューでも仰る通り、マーク・ラファロの演技がやはり素晴らしいです。この方の演技に対するふり幅はどれだけあるのだろうと改めて思ってしまいました。

1970年代のボストンを舞台にしております。よって躁うつ病という心の病は周りに理解されるのが難しい時代であり、それを本作ではしっかりと表現しております。故に、「うつ」という心の病が理解された現代の我々からすれば、過去にこの病気を患った本人、そして家族は本当に辛かく悔しかっただろうと深く考えさせられました。

それでも躁うつ病の父親キャムの家族である妻マギー、二人の娘アメリアとフェイスは、キャムを面倒くさい存在と思いながらも、父親である事は決して忘れず接してくれます。

本作人種問題も少し取り上げられており、妻マギーが夫と娘をボストンに残してまで単独でニューヨークの大学院に行きMBAを取得しまずが、黒人である事で資格を取得してもボストンでは働けない現実を知り愕然とします。

70年代を舞台に「うつ」という病気と人種の差別を取り扱い重い現実を見せつけられますが、本作を終始暖かい気持ちで鑑賞出来たのは、アメリアとフェイスの存在があったからかもしれません。父のキャムに反抗しながら、でもそれはキャムが病気である事で感情をコントロールできない事を二人の小さな娘は十分に理解していました。だから反抗しても最後はキャムに抱き着く・・・、それでもやっぱりパパが好きだったのです。

本作には派手な演出や展開はありませんが、キャムとアメリア、フェイスのドタバタしたやり取りが終始楽しませてくれます。

そして何といってもラストの親子3人のシーン。自然なのに何故か大きな感動を与えてくれます。

私は数年前社の昇格試験を受けた際、論文のテーマにメンタルケア取り上げました。部下や同僚で「うつ」になった社員を何人かみてきましたが、厳しい現実は「うつ」を発症した人は中々社会復帰できないという事。でも可能性はゼロではなく復帰の望みも十分にある・・・。それをテーマとして論文を書き続け筆を下した事を思い出しました。でもメンタルをテーマに論文が書けたのも「うつ」という心の病が理解されている現代であったからだと思います。その様な病を中々理解されなかった時代では文献も少ないでしょうし、テーマにする事すら考えなかったと思います。

最後にmizuno様・・・・。ガッツポーズ・・・、私の中では感動の嵐でございました。素敵なレビューをありがとうございました。
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