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二ツ星の料理人のn0701のネタバレレビュー・内容・結末

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

完璧さを求めることは尋常じゃない。

だがそれでいい。

パリで起こした事件を苦にドラッグと酒に溺れ、大金を借金し、老いさらばえた一人のシェフ。

結局、自身の身の上に起こった悲惨で凄惨な出来事に関する言及はない。それに、師匠との間にどのようなことがあったのかはわからない。

しかし、予測はつく。
おそらく、唯我独尊で完璧さを求めた結果、誰も付いてこれず大きなイベントに失敗したのだろう。他人とは違う自分の個性だけを頼って、自分を肯定するためだけに他人を使ったのだろう。

彼は地獄の底から這い上がる。
どうしてもう一度やり直そうと思ったかは分からない。語られないのだ。

だが昔のツテを使い、彼を戻すより他にない方法でシェフに復活する。

しかし世界では、飽くなき追求の末、大抵の調理方法は古いと一笑に付せられ、ロンドンではまるで化石でも見るかのようにフライパンを取り扱っていた。彼はそこで絶滅寸前の方法で真っ向勝負を挑んだ。

そして、ミシュランという高級料理店の象徴的な印を得るために粉骨砕身寝る間も惜しんで研究に次ぐ研究をする。

だが、彼は最後の最後、本物のミシュラン調査員が現れるまで自分本位の料理を止めなかった。

しかし、ある女の料理人との出会いによって彼は変わる。
チームプレイによる料理を行うようになる。こだわり続けてきた手法から、新たな方法にチャレンジする。

彼は気付いたのだ。
自分一人で出来るキャパシティについて。

そして、チームが常に完璧の状態であれば、シェフの役割を果たすだけで完全なものに仕上がるということを知る。

彼の求めた完璧さのその先にあるものは、その完璧な状態を保つことだったのだ。

ミシュランは何度訪れてもクオリティが変わらないということを見る。

まさにその極地である。
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