翔

しんぼるの翔のレビュー・感想・評価

しんぼる(2009年製作の映画)
1.0
伝えたい事があったのはわかるけど、でも伝え方がクソ過ぎて不愉快。

幼い頃はどんな事をしたとしても自分の知る世界の中だけで物事は完結する、それも優しい形で。
でもやがて成長するうえで人は当然のように進むべきだと思っていた理想の道筋を辿れないことによる無力感、圧迫感による絶望を感じる。閉塞感から逃れようと選んだ妥協のルートを選ぶことで人は大人への道を一気に駆けることになる、気づいたら、もう大人。
大人になるともう自分の行動は自分の世界のものじゃない、あらゆる形であらゆる方向に波及してよく知りもしない人間から評価の対象にされる、良くも悪くも自分の意思が支配できないほど理不尽に。

さて、ここまで色々言ってきたけどぜーーんぶ「なのかもしれない」だけ。
この映画を観て少しだけでも俺が何か意味のあるようなことを考えられたとするならこんなとこ。ストーリーもユーモアもメタファーもキャラクターも、全てにおいてしこりが残る。何も生まれてないのにしこりはどこから来るんだろう。

願わくば、メキシカンプロレスラーの家族は本筋と一切関わることがないままだったらどうなっていたか。そこだけ観たいな。
翔