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クロッシング・ウォー 決断の瞬間のtheocatsのレビュー・感想・評価

3.8
中東への欧米軍事介入がもたらす悲劇の一面

実話ベースというわけではなさそうだが、いかにも起こり得そうな絶望的悲劇に満ちている。

反タリバン自警団に協力するという名目でドイツ軍がアフガン駐留。
しかし、横暴な自警団リーダーのやり方に欧米的価値観で異議を唱えたり、死にそうな牛を「楽にさせる」ために所有者の許諾を得ぬまま殺害したり、そのせいで両者の間には深い溝が生じてしまう。
実際の戦闘場面では自警団がドイツ軍を助けたのに、自警団の緊急事態には規律を盾に協力を拒否したりと両者の平行線が解消するめどは全く立たない。

アフガンで兄を亡くしたドイツ軍現場指揮官は殺した牛の弁償の為に兵隊ストリップショーで募金を募り金を工面し、タリバン派に生命の危機を脅かされているアフガン人通訳の妹が重傷を負った際には規律違反を犯し救命に奔走したりもする。
ところが、そのせいで自軍兵隊を取り返しのつかない危機にさらすことになる。。。。

ラストは絶望的虚無感しか生じなかったが、それこそ中東への欧米軍事介入がもたらした必然の帰結かもしれないし、実は欧米が介入しなくても反目する部族同士で永久に続く宿命的な事象なのかもしれない。

何れにしろ映画的にはしっかりした構成と演出、映像でなかなかに魅せてくれたと個人的には思う。
久々のやり場なきいい虚無感でした。

3.8の四つ星
012104
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