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父を探してのsukeのレビュー・感想・評価

父を探して(2013年製作の映画)
4.5
音と色彩の宝石箱。アニメーション表現のカーニバル。
そしてそれらが可能にする豊かな心象描写と社会批判。
中南米、ブラジルの発展した都市とファベーラをモチーフにしたと思われるが、貧困、格差、機械化、資本主義社会、人間らしく生きるとは何か、ということは、世界中で普遍的な問題だ。特に日本、東京。

しなやかに動くアニメーションや手触り感のあるタッチと、プログラミングによる全く同じ動きの機械化された労働者、平面・直線的な線、コラージュなどを恣意的に使い分け、強い社会批判を行っている。ただ一方で、都市の人間のエネルギーは正の面も負の面も感じた。

そうはいってもちょっと思想が押し付けがましく、学校の先生が好んで生徒に見せたがりそうな勝手な印象。

主人公の一生を通して描かれたのは、結局家族への郷愁?田園回帰?資本主義社会に立ち向かうも自らは夢破れつつ、それでも感じる人間らしく生きる未来への希望?
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