ノラネコの呑んで観るシネマ

愛のように感じたのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

愛のように感じた(2013年製作の映画)
4.0
恋に恋する少女のかなりビターな青春。
「16歳の瞳に映る世界」のエリザ・ヒットマン監督の、長編デビュー作。
親友がいつも彼氏とイチャイチャしてるもんだから、焦ったお一人様の主人公は、海で出会った大学生の男が、危険なヤリチンだという噂を知りながら、彼に魅かれてゆく。
不器用なモーションをかけ続け、周りにはデートしたと嘘をつくが、なぜかヤリチン男は彼女の誘いに乗ってこない。
クローズアップを多用し、なかなか引き画を見せず、これが主人公の半径1メートルの物語であることを強調。
思春期の性体験の見栄は、世界共通だろう。
だが恋の駆け引きなど知らず、相手の気持ちを想像する余裕のない主人公の行動は、危なっかしくて見てられない。
愛だと思っている自分の気持ちも、本当は単なる憧れに過ぎず、彼女はそのことを残酷な拒絶の言葉で知らされるのだが、親目線で観てたから逆にホッとしたよ。
男の本性次第では、下手したら人生終わってた。
心が傷付いたとしても、それは成長の代償。
大人の階段はタダでは登れない。
「16歳の瞳」同様キャラクターが生々しく、小さな映画だが印象に残る。