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お遊さまのtottsunのレビュー・感想・評価

お遊さま(1951年製作の映画)
3.7
「お遊さま」🎬34
谷崎潤一郎の「芦刈」を原作として作られた作品。お見合いに訪れた静を迎えた慎之助は静のお供として一緒に現れたお遊に一目惚れしてしまう。
「仕事と人生に効く教養としての映画」という本を最近読んでいる。その本の中で黒澤監督はもちろん、小津安二郎監督や今作の溝口健二監督の作品について、筆者は触れている。
実際のシーンの写真を使いながら、監督の意図する描き方について語られているわけだけど…たまたま作品についてFilmarksで調べたら今日1日だけ劇場で上映されるのだと知って、仕事終わりに池袋へ。(U-NEXTさえ取り扱ってないっていうのと、はじめてのモノクロ作品をちゃんと集中して向き合ってみたかったから)旦那さんに明日見に行きたい!って話をしたら、ついにそんな域に手を出すようになったんだね!って言われて思わず笑ってしまった。
ただ、恥ずかしながら日本映画のモノクロ作品は今作が初めて。だから、他の作品とどう比べていいのかもよく分からないけど、筆者の言いたいことは分かった気がする。
原作も未読なためどれくらい忠実に描かれているのかははかり知れないところではあるけれど。
静が健気すぎて、冒頭30分くらいはずっと俯いていて声すらも聞けない。
それほどの表現を用いて慎之助とお遊の世界になってしまっているように描かれてるんだなと理解した。
ただ、共感できるかっていうと、それはうーん。なかなか難しいですね。
話そのものよりも、モノクロでありながら萌葱色の若葉たちや豪華で美しい着物や所作を楽しむための映画かな。
1951年公開作品とのことだけど、どうしても技術的には暗転の時間があったり、音がザラついた印象があったりするもので、それに対して、先日鑑賞した「イヴの総て」がその1年前にはアメリカでは公開されていたわけで…そうやって考えると日本が追いつこうとしていた時代なんだなと思った。
私的には☆☆☆.7かな。
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