へちょりーの

LION ライオン 25年目のただいまのへちょりーののレビュー・感想・評価

4.6
実話。
そのことにまず驚かされる。

あらすじはこうだ。
インド生まれの主人公サルーが、5歳で兄とはぐれ迷子に。
そして、孤児院収容を経て、オーストラリアで養子となる。
成人を迎え、幸せな生活を送れば送るほど、募っていくインドに居る家族への想い。
そんな彼はインドの家族を探しだす。ただいまを伝えるために。
手がかりは”朧げな記憶”と”Google Earth”。

実際にはFacebookも使用したそうだが、Google Earthと朧げな記憶を頼りに膨大な時間をかけ探し出せたことにまず驚く。

この作品の素晴らしいところは、人間味を惜しみなく描き出しているところだ。
生きるために人身売買に加担し、偽善を働く人間の愚かさも、サルーの養父母の暖かさや何故養子を選んだのか。
サルー本人の葛藤も。全て繊細に描かれている。

そして終盤はずっと涙が止まらなかった。
子ども帰りを信じ待ち続けた実母の愛。
子どもが授かれるのに、養子をもらうことを選んだ養母の愛。
どちらの愛情も大きく深い。
その愛情があったからこそ、サルーは大きく育っていったのだろう。
母の愛は偉大だ。

子どものサルーの笑顔と不安そうな表情もとても印象深かった。
何故タイトルが「LION」なのかも、最後の最後まで見るとわかる。
エンドロール終わりまでしっかりと楽しんでいただきたい。