爆裂BOX

イット・フォローズの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
3.9
セックスで「感染」する呪いを描いて低予算のインディーズ作品ながら、全米でスマッシュヒットした新感覚ホラーを今更ながらちゃんと鑑賞。
19歳のジェイはある男と一夜を共にするも、男が豹変。ジェイを縛り付けるとある物を移し、そのせいで「それ」に狙われる、殺される前に他の誰かに移せ、と命令される。その日から「それ」がジェイの前に現れゆっくり近づいてくる、というストーリーです。
何かに怯える女性が住宅地から逃げ出し、その後砂浜で奇妙な死体になるまでを長回し風で映した冒頭から不穏な空気感じられて結構引き込まれていきます。その後のジェイと彼氏のデート中にちょっとしたゲームをしているときに、彼氏の発した一言から楽しいデートの空気が一変する所も良いですね。
「それ」が一体何なのかも最後まで解らないのも良いですね。「それ」がゆっくり近づいてくる所は、ノロノロゾンビのような怖さありますね。知人の姿になる事もあれば、老人等全く知らない人の姿で人ごみの中を近付いてくる所も不気味です。片乳だして失禁しながら近づいてくる若い女性や、異様にデカい男の姿でくる所はインパクトありましたし、全裸で屋根の上で仁王立ちしてる所もギョッとさせられます。海岸のシーンは後ろから近づいてきてるのにジェイが全然気づかないので「志村!後ろ後ろ!」状態でしたね(笑)また、登場人物が正面にいてその背後の遠景からこちらに近づいてくる姿や、窓の外移すと此方に近づいてくる姿が写る所も不気味なBGM流れない所もあるので、「それ」だったのか普通の人だったのか見てるこっちにもわからない所も不気味な余韻残します。
「それ」は人に移すことができて、その間はその移した相手が追われるけど、解放されるわけではなくてその人が死ぬとまたこちらに戻ってくるという厄介な設定も面白いですね。ただ、この「戻る」は設定だけでそこまでうまく活かせてない気がしたのは勿体ないかな。
全編流れるBGMもカーペンターっぽくて耳に残りました。
主人公のジェイと友人達のちょっと暗めで温度低めの青春ドラマの趣も強いですね。何だかんだ最後まで付き合ってくれる友人や妹たちは皆いい奴だったな。幼馴染でジェイに好意持ってるけど中々行動には移さない友人ポールのうじうじした青春ドラマもなんだかんだ楽しめました(笑)隣人のチャラ男グレッグもジェイ狙いの所あったとは思うけど結構協力してくれましたね。グレッグ役のダニエル・ソヴァットは「ドント・ブリーズ」のマニ―役の人だったんですな。全然印象違ってるから気付かなかった。
ジェイに移したジェイクは色々謝ってたけど結局かなり自己中な奴ではありますよね。まあ、ジェイも最初は泣き叫んで被害者という感じだけど、グレッグに移して、グレッグの死を目撃した後、ハッキリとは描かれてないけど海にいた若者三人にも移したみたいだしあそこでは自分を活かす為に他者を犠牲にする加害者になりましたね。「一回寝た事あるし何となく平気そうだから」って理由でグレッグに移したりジェイも相当自分勝手ではありますね。終盤になるまでポールと寝なかったのは何だかんだジェイにとっても大切な存在だったからなのかな?
終盤のプールでの戦いは、「それ」もプールの中にいるジェイに向けてガンガン物投げて、こっちの攻撃も通じるから「結局物理攻撃するし効くんかいw」と何か笑えて来ました。ここで何か一気に普通のモンスター物っぽくなった気がします。
ラストは何とも言えない余韻も個人的に好みでした。
低予算で派手なシーンはないながらも「それ」の不気味な雰囲気など良くて飽きずに見る事が出来ました。監督と主演のマイカ・モンロー続投で続編制作決定しましたが、どう話続けていくのかな?このラストで終わらせた方がいい気がするけど…