hajime363

イット・フォローズのhajime363のレビュー・感想・評価

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
4.9
“拷問には苦痛と傷が伴う
肉体的苦痛は精神的苦痛を超越し人は傷の痛みに死の瞬間まで苦しむ
だが最悪の苦痛は傷そのものではない
最悪の苦痛は、あと1時間あと10分あと30秒で、そして今この瞬間に魂が肉体を離れ人でなくなることを知ること
この世の最悪はそれが避けがたいと知ることだ”
作中引用されるのはドストエフスキーの「白痴」。

歩くような早さで近づく“死”
それは避けられないことだと自覚する時、青年期は終わりを迎える。

まず生殖行為が“死”の起点って時点でもう満点!(韻を踏んでいるよ)
そんでもって、気休め程度に“死”を忘れられるのも生殖行為というイジワル設計!にくいね!
(まぁ、実際のところ生殖行為の結果としての“次世代”が生活能力を獲得するまでは“ソレ”が来るのは待ってほしいけど、極論的な概念としてはバトンタッチしてからは緩やかな死ですからね)

結論はきっと「白痴」を読まないと十分には理解は出来ないんだろうけど、“ソレ”は誰しもが避けがたい運命とした上で、支え合えると信じた人の手を力強く握り、前だけを見つめて歩みを止めない。ということで……あれ、めっちゃ普遍的で良い映画。

一方で、童貞映画としても良い本作。
そもそも「sexするやつみんな死ね!もちろん俺以外!」という訓示は童貞なら誰しも1度は書き初めで書いた経験がおありでしょう。
(恥ずかしがらないで、君は独りじゃないよ)

「アメリカンスリープオーバー」における“憧れのあの子が実は腕に昔の男の名前(×2)を彫っちゃうくらいヤリマンでドン引き”的な軽率さへの嫌悪感と性的衝動の矛盾感。
本作はそこに「セックスすれば憧れのあの子を助けられる」というDF(童貞フィクション)要素が乗っかっているので、ポール(KAT-TUN中丸くん似)が良い塩梅の童貞顔を披露してくれるんですね~!ナイス童貞!煮えきらないぞ!

はい、次は「アンダーザシルバーレイク」観まーす@外出できない週末
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