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知らない、ふたりのRenkonのレビュー・感想・評価

知らない、ふたり(2016年製作の映画)
4.2
3年前の冬。人生最大の失恋をした直後の僕は、とあるイベントで1人の女性に一目惚れをした。声をかけ、その後何度かアプローチしたものの、当時相手に彼氏がいた事もあり結果は惨敗。
それでも自分が行動を起こした事への後悔は全く無く、むしろ失恋の辛さを打ち消してくれた事に対する感謝の念が勝った。
今作のソナが放った「救われた」という一言は、正にあの時の自分の気持ちとリンクしていたのだ。

今泉力哉監督最新作。
公開前からの期待を上回る良い映画だった。
「サッドティー」もそうだったけど、知らず知らずのうちに他者に影響を与え合ってることを可視化した今泉製法の「数珠繋ぎの群像劇」が素晴らしすぎて、もう何なんだろう。今昔も国も関係無く、こういうのはちょっと他にない。
登場人物達のドラマが、ゆっくりとドミノが倒れる様に押し合っていく様は作品に血が通っている様で、もう大好きだ。

「サッドティー」と異なる部分としては、やはり韓国人留学生のメンバーがぶち込まれているところが大きい。
彼らの恋愛観は至極ストレートで、先生もジウの一言に対し「そんな単純じゃないのよ!」と怒りながらも彼氏と向き合う事へのキッカケを作る。
彼らの言葉がストレートなのは、恐らく言葉をあまり知らないからなんだと思うけど、どうやらその方が男女間にとっては良い事なのかもしれない。
言葉を知っていなければ「じゃあ」なんてまどろっこしい言葉は出ないのだ。

男心と女心が永遠に理解し合えぬこと、知らず知らずのうちに他者と影響を与え合ってる事の2つの意味を示した様な「知らない、ふたり」というタイトルがこれまた良い。
また、レンが抱える罪を優しく赦す人間の温かみを感じる作品であった。
しいて言えば終わり方がちょっと雑に感じちゃったかなぁ。君をアイスってシャレかよ!

ちなみに冒頭の女性とは紆余曲折を経て昨年からお付き合いをする事になった。
当時の僕達がお互いそんな関係になるとは知る由も無い。
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