小津安二郎が脚本執筆の際に逗留した茅ヶ崎の実在の旅館を舞台に盛り上がる、女たちのマウンティング合戦。
結婚した女、旅先で男のひとりでもひっかけようかという女、かつての恩師と偶然再会する女。女の子はいくつになっても縄張を争う魔法使いです。
ゼミの旅行でその3人と大学生&教授が同じ所に泊まることではじまる不穏なバカンス。
茅ヶ崎の美しい風景を的確に捉える上野彰吾さんの撮影がきれい(『恋人たち』の撮影もされてると言われてから知りました。『恋人たち』は手持ち多め、こちらはフィックス長回しおおめ、今作でもシンメトリー構図が美しかったです)。
今作の監督、三澤拓哉さんは撮影当時26歳というから畏敬の念。
『ニンフォマニアック』のラース・フォン・トリアーのように女性の生々しさを描ける男性の監督というのは希少なので今後が楽しみ。
今作ではエグゼクティブプロデューサーも務める杉野希妃さんの美しさ、好き。カリンを問い詰める長回しがすごい好き。
杉野さんも仰ってたが『ほとりの朔子』と空気感が似てるのはヌーベルバーグリスペクトとのこと。また見るものが溜まってゆく…。
救いはあるのか心配してたが、夕暮れにはためく凧があまりにも美しかった。