ちろる

天使にショパンの歌声をのちろるのレビュー・感想・評価

天使にショパンの歌声を(2015年製作の映画)
3.5
一面に広がる雪景色の中に現れるひとりの修道女の姿から始まるオープニングとラストの条件のまとまりが美しかった。
伝統的な音楽学校として貫きたい学園長である主人公の音楽学校にある時、姪であるアリスが転校してくる。
彼女はこの学校以来のピアノの才能があるが少々の問題児。
主人公オーギュスティーヌも血の繋がりから彼女を気にかけつつも特別扱いできず、距離を掴めないまま残酷な現実が重ね重ねくる様子が訪れる様子が静かに静かに描かれる。
神父さん以外はほぼ女性と少女だけ、会話よりも美しい歌声やピアノの調べの方が多いような感覚すら受けるけど、その裏で修道女たちの攻防戦や少女たちの嫉妬や友情、厳格そうな主人公オーギュスティーヌの秘めた過去の想いもしっかりと描かれていて非常に繊細な作品だった。

幼稚園から大学と修道院のあるカトリック系の学園で育った私は今でもシスターに対して特別な印象を抱いてしまうのだけど、あの幾重にも重なった白と黒の修道服は周囲を遮断する何かがあると思っている。
それは感情も欲望も何もかもを捨てさせる何か。
でも彼女達も私たちと同じ生身の人間で過去にどうしようもない過去や、忘れられない恋の思い出があったのかもしれないということをこの作品を見たら思い起こさせてくれた。
シスターの衣装がガラッと変わるシーンはとても印象的で天使にラブソングを」より穏やかで上品な作品なのに、ある意味攻めてました。
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