いかすみ

たかが世界の終わりのいかすみのネタバレレビュー・内容・結末

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます


タイトルとポスターに惹かれて、
大学時代から見たかった作品。

グザヴィエ・ドラン監督の作品なのか…!
やっぱり登場人物たちの背景に想像の
余地がありすぎるところが好き。
作中で全ては語られないところ。
ルイと電話で話してた人はどんな人だろうとか、
昔の家ってどんなところだろうとか、
この家族のお父さんはどんな人だったんだろうとか。

映画はルイ視点で見てた。
「もうすぐ死ぬ」ということを伝えるために、
12年ぶりに家族の元を訪れる。

12年も会ってなかった家族だけど、
「余命宣告」をきっかけに、
家族の温かみとか、絆とかに
ちょっと期待して帰ったんだろうと思った。最初は。
だって家族だし。

でも帰ってみて直面したのは、
恐らく12年前に感じた家族に対しての
思いと全く変わらないもの。

「ゲイに会うからおしゃれしなきゃ〜」とか
「今もゲイ地区に?」とか、
会話の中に一々出てくる「ゲイ」っていう言葉が、
馬鹿にしてるようにしか聞こえなかった。

母との抱擁のシーン
兄との車のシーン
ルイがどんどん絶望してるのが伝わった。

ー愛されてないと?
理解されてないと?
その通りよ。
理解できない。
でも愛してる。
あなたを。

そんな愛、全然嬉しくない。

最後のデザートを食べながら
「これからはもっと帰ってくるよ」
「こっちにも遊びに来いよ」
母から求められた役回りを、
投げやりに演じてるのが伝わった。

もうどうでもいい。
人生の最後に家族に会うことで、
分かり合えることを期待したけど。
期待するだけ無駄だった。
自分の死は家族との関係を
変化させるものでもなんでもない。
たかが、自分の世界の終わりだ。

ラストシーンにかけて、
タイトルがとても重くのしかかってきた。

突然過去の回想シーンが流れて困惑したけど、
昔のピエールとの思い出綺麗だったなー。
映画の中で、ルイが唯一心から楽しそうに笑ってるシーンだったからこそ、輝いてた気がする。
あのガラス越しに手が離れていくシーン、とても綺麗だった。
いかすみ

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