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500ページの夢の束のkanaco4月末までお休み中のレビュー・感想・評価

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
3.4
大好きな『スター・トレック』の脚本を書き上げた自閉症の娘ウェンディが、その脚本をコンテストに届けるため愛犬ピートと数百キロの旅に出る勇気あるロードムービー。ハラハラする試練が続きますが、音楽の軽快さや愛犬の可愛さが重くなり過ぎないようカバー。彼女自身の成長と家族の再生の行方は…😌(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

サンリオ人気キャラクターのプロフィールを読んでマイリストから見る作品をチョイスするシリーズ(ご興味のない方すみません)。

2023年サンリオキャラクター大賞で1位〈シナモロール〉。2020年から現在まで4連覇を更新中!なお2023年は日本以外でも9ヶ国で1位の座に君臨しています。圧倒的強者👑!2002年デビュー。くるんっとしたシッポがシナモンロールに似ているので名前は〈シナモン〉。遠いお空の雲の上で生まれたという白いコイヌの男のコです。大きな耳をパタパタさせて空をフワフワ飛んできたところを「カフェ・シナモン」のお姉さんに見つかり、結果、カフェの看板犬になるにいたったらしい…。空飛ぶコイヌを店に連れて帰るお姉さんの先見の明すごいな😲✨

シナモンロールが出てくる映画にしようと思ったけどマイリストになく…。困ってネットで調べたらこの作品にはシナモンロールが出てくるし、ワンちゃんも出てくるとのこと。ということでこの映画に決定~マイリストにIN、セーフ(つまりは全然関係ないってことです🥳)。

◆あらすじ◆
自閉症を抱え唯一の肉親である姉と離れて施設で暮らしているウェンディは『スター・トレック』が大好きな21才。家に戻りたいと願う彼女はソーシャルワーカーのスコッティの援助を受けながら、カフェでシナモンロールを作るアルバイトをしたり、自閉症や感情をコントロールするための訓練に励んでいた。ある日50周年を記念するための『スター・トレック』脚本コンテストが開催されること知る。喜んだウェンディは夢中で脚本を書き上げ、427ページという渾身の大作を完成させた。しかし郵送では締め切りに間に合わないと気がつく。そこで愛犬ピートと一緒にハリウッドまで数百キロの旅に出ることを決意し、誰にも告げずに施設を飛び出すが…。

❶自閉症の娘ウェンディが愛犬ピートと数百キロの旅に出るロードムービー

自閉症であり興奮すると癇癪も起こしてしまうため、人とのコミュニケーションをとるのが大の苦手な21才の主人公ウェンディ。そんな彼女が自分で決めた目標に向かって勇気を振り絞って直進し、その目的を成し遂げるまでを描いたヒューマンドラマです。目的のために数百キロの旅に出るというロードムービーでもあります。

ウェンディは『スター・トレック』の大ファン。ある日『スター・トレック』脚本コンテストが開催することになり、ウェンディは作家としての才を発揮して427ページという渾身の大作を完成させます。しかし締め切りが迫っており、脚本の応募ルールは郵送なのですが郵送では間に合わないと気がつきます。ウェンディは脚本を直接開催元へ届けるためにハリウッドまで数百キロの旅に出ることを決意。誰にも告げずに、ついてきてしまったペットのチワワのピートと共に施設を飛び出します。

自閉症の若い女性が旅をするという過酷な内容ですが、作品の雰囲気自体は概ね明るい雰囲気で描かれます。それに合わせてBGMも歌入りのものが多く、穏やかか軽やかなリズムを刻むものがほとんど。期待と不安が織り交ざるような冒険に近い旅を重くなり過ぎないように後押しするような様子です。

ちなみに『スター・トレック』を知らなくても鑑賞については特に問題なかったです。もちろん知っている方が小ネタは拾えると思います。ただ、衝動で突き動かされるほど好きなモノがある…ということに共感ができればイケるかな…と🤔

❷ウェンディの勇気ある旅がもたらした成長と家族の再生

ストーリーの軸は主に2つ。ウェンディ自身の成長物語と〈ウェンディと姉〉あるいは〈ソーシャルワーカーのスコッティとその息子〉の家族の再生物語です。

自閉症であるウェンディは一日のサイクルが決まっていて日々しっかり守っており、近所に出かけるにも決まったルートがあります。それを超える行動は危険を伴うため範囲を超えてはいけません。

そんな彼女のハリウッドへの旅は勇気を出さなければいけない状況の連続です。バスに乗るにも信号を一つ渡るのにもとても勇気がいります。自分が自閉症であり癇癪を持っていることを重々承知しているウェンディは、落ち着くためにたくさんメモして自分をコントロールしようとします。社会のルールにも他人にも疎いウェンディは途中で色々なトラブルに会いますし、悪い人間からは格好の獲物です。鑑賞している間はウェンディに近寄ってきた人間が良い人なのか、悪い人なのか…社会のルールから逸脱するために注意されるのはとにかく(それも言い方や態度ってものがあると思いますが…)、ただの理不尽な酷い目に会わないか…と見ていてハラハラしました。

U-nextには「愛とユーモアあふれる感動作」と紹介されていたのですが、これが単純に感動的で良い話かと問われると個人的にはそうは思いません。そんなシンプルな話ではなく、全てを手放しで賞賛できる行動でもなく、もっと複雑な議題だろうと思います。

ただ、映画の主張に沿い色々な人の立場を無視してウェンディという一個人だけで語って良いのであれば、「500ページほどの脚本を書き上げる」「提出物を何があろうとも届ける」「自分の正直な気持ちを家族に伝える」という自分の強い思いを、どんな困難があろうとも“ありったけ”の勇気を振り絞り、例え力技になっても挑戦を全て完遂させたウェンディの行動力は凄まじいエネルギーだと思います。自分の力で道を切り開いたその姿勢はスゴイです!

❸相棒のチワワ犬、ピートがとても可愛くて癒し!

映画の中での癒しは、ウェンディにくっついて一緒に旅する相棒のチワワ犬、ピート。相棒として活躍するのかなぁ~と最初は思っていたのですが、とても大人しいワンちゃんで番犬としての役割は期待できず😂小型犬なので歩幅が狭く歩きすぎると疲れて座りこんじゃうから基本はウェンディのバックで運んでもらいます。〈旅をする〉という点についてはウェンディの精神面を支える以外ではマイナスな方面の方が大きいです。どう考えても置いていった方がウェンディの旅の難易度は各段に下がったはず😂

ただ映画のマスコットとしては愛くるしさ100点で、音楽と同様にピートも雰囲気が重くなり過ぎないようにする役割を立派に果たしていたと思いました。『スター・トレック』のお洋服を着て、テトテト歩く姿がたまらなくキュートです!

📖🐝「思っているよりシナモンロール(正確には劇中ではシナボン)は出てこなかった…😂ウェンディは旅の途中でさまざまな人に出会いますが、スター・トレックのことが大好きな警察官さんが一番印象に残りました😌✨」